急成長する東南アジアのデジタル決済:インドの三者間決済に参入する企業とは?

東南アジアで急成長するデジタル決済

グーグル、テマセク、ベイン・アンド・カンパニーが共同で発行した「2023年東南アジア・デジタル・エコノミー・レポート」は、東南アジア地域の消費者がデジタル金融サービスを受け入れつつあることを指摘している。同地域では現在、デジタル決済が取引の約50%を占め、現金決済の市場シェアは低下し続けている。

東南アジアの人口は6億人を超え、若年層の割合が高く、インターネットの普及率も高い。PwCは、東南アジアにはデジタル決済の膨大な潜在的ユーザー層があると分析している。デジタル化の加速に伴い、同地域ではデジタル金融サービスがより広く普及し、適用されることが期待される。データによると、東南アジアのデジタル決済は2019年に総額220億米ドルに達し、2025年には1140億米ドル以上に成長すると予想されている。

タイの多くの都市で、QRコードの画像を表示し、「コードをスキャンして支払う」よう指示する商店が増えている。これは、タイ政府が開発・推進しているデジタル決済システム「クイックペイ」の一環である。利用者はID番号や携帯電話番号を使ってシステムに登録・ログインし、支払いを行ったり受け取ったりすることができる。タイ政府は、2024年末までに42%の決済取引をデジタル化することを目指しており、平均的なタイ人がデジタル決済を年間800回利用するようになると予想されている。

ベトナムは東南アジアで最も急速にデジタル決済が普及している国の一つである。ベトナム通信社(VNA)によると、ベトナムのデジタル決済総額は2023年に前年比19%増加した。デジタル決済は2023年から2025年にかけて年平均成長率13%で成長すると予想されている。カンボジアのデジタル決済業界は後発国だが、急速に成長している。カンボジアのデジタル決済取引は2023年には47億3,000万米ドルを超えると予想されている。フィリピンでは、2023年5月の統計によると、決済システムGcashのアクティブユーザー数は8,100万人、加盟店数は250万社で、70%以上のフィリピン人がGcashを利用している。

現在、WeChat PayやAlipayといった決済プラットフォームは、タイ、マレーシア、シンガポールといった国々で広く利用されている。タイの多くのコンビニエンスストアや大型ショッピングセンターでは、中国人観光客のほとんどがアリペイやウィーチャットペイの利用を選択している。タイの商店の中には、中国人観光客向けにコードスイープ決済による割引を提供するプロモーションを展開しているところもある。昨年末、カンボジア国立銀行とアリペイはコードスイープ決済協力に関する覚書に調印し、両国間のクロスボーダー決済取引がさらに深まった。

東南アジアではデジタル決済が急成長しているものの、現実的な課題も多く残されている。金融インフラが脆弱な一部の国では、国民の一部が銀行口座やクレジットカードを持っておらず、デジタル決済の普及を困難にしている。また、サイバーセキュリティ対策やデジタル文化の違いといった問題が、デジタル決済の普及を遅らせている国もある。